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*♪【創作SS】君がいいんだ*

君がいいんだ。


「タクミ、その凝り性な性格どうにかしてくれない?」
彼は奈津にそう告げられて、肩をすくめる。
彼の名前は遥タクミと言う。
「ちぇっ、何だよ。奈津こそ、そのドジなところ何とかしてくれよ。」
彼女はタクミにそう告げられて、肩をすくめる。
彼女の名前は森奈津と言う。



………「まぁ、お互い様って事でお互いの事言えない訳で。
ごめん、奈津。機嫌直して。」


「何も、怒ってなんかいないんだからね。
それにタクミの事も何とも思ってないよ。」


(¨そんなツンデレのところが好きだ。¨
なんて言ったら怒るんだろうなぁ………。)


タクミの心の中で、今までにない気持ちが芽生えていた。
奈津はそんなタクミの気持ちに気付くハズもなく。


さっき一言言葉を交わしてから。
何故か何だか凄く奈津が愛しくなった。
こんなクールな自分が恋心抱くなんて、自分でも考えられなくて。


「じゃあ、私、これから買い出し行くから。また。」


そう告げて、奈津は俺の傍から離れていった。
¨俺の気持ちはこうだよ¨そう素直に心のままに告げても、
奈津は素直じゃないから心のままの言葉を受け取ってくれないだろう。
親友の秋野たすくとお酒を飲んだ席で、
奈津の事を相談した事がある。
「タクミ、好きだって伝えたいならサプライズ考えるべきだよ。
奈津、誕生日いつ? 確か5月じゃなかった?!
まぁ、どっちにしろ自分の気持ちは素直に伝えるべきだよ。分かった?!」


その進言を守って、今度の誕生日、どうしようか悩んでいる最中だ。
クールで器用な事だけが売りな俺に何が出来るんだろう。
せめて、たすくみたいに元気が売りなら大胆な事が出来るのに。


………心の中で気持ちだけ空回り。


携帯の呼び出し音が鳴る。
(誰だ、まったく。)



………新着メール1件。
(Re;タクミ
さっきはごめん。って別に許した訳じゃないよ。
何か心に引っ掛かるんだ。じゃあ、また。奈津)


(俺って全然ダメじゃん。こんなんで一人の人大切に出来るのかな。
奈津に¨俺しか見えない魔法¨掛けたら、どうなるかなぁ。
嗚呼、独占欲強いなぁ俺。)


此処まで一人の女を愛した事があっただろうか。
恋心や愛ってすごいね。


人って自分に無い物を求めてるんだよね。
だから、友情や愛が成立するんだよ。
俺にはドジや怪力や秀才、運動得意な脳はないから。
俺だけだよね、奈津に自分に無い物求めてるのは。
恋心が生まれて愛になってそこから2人で歩んでいくものだと。
実感していた、恋が生まれた事を。


RRRRRR...RRRRRR...
携帯が鳴った。

「はい、タクミです。」
「フユミです。」
「どうした?」
「聞いたよ。奈津の事で悩んでるって。」
「え………?」
「たすくから聞いた。料理レシピ教えるから奈津のために一品作ったら?」
「うーむ、フユミみたいに料理上手くないからなぁ。」
「尻込みしてても始まらないよ。あとでパソにメールするわ。」
「はーい。ラジャー。」


フユミとの電話を終えてふと思う。


(たすくもフユミも俺の事考えてるんだ。しっかりしなきゃ。)

玄関の前で一人で畳み掛けるように座っていると。
見慣れた女性がこちらに向かい歩いてくる。

(まさか。そんなハズないよな。)


瞬間が来ても、伝えなくちゃいけない時が来ても、
恋には臆病だから何も言えそうにない。
何処までピュアなんだ、この恋心。


「タクミ!!!」

呼ぶ声に反応して、見つめる。その姿を。


「奈津。」

「ごめん。今まで勘違いしてたかも知れない。タクミは一生懸命生きてるのに。」

「え………?」


奈津の心の中にも俺の心の中にも在るのだろう、
同じ¨好き¨と言う気持ちが。


「やっぱり好きなんだよ。誰に何言われたって、好きなんだって気付いた。
今まで、タクミが私の事嫌ってるって思ってた。アハハ、私の勘違いだよね。」


(いつもはこんな事言わないのになぁ。)


………「らしくないぞ。」

「え?」

「奈津の事、ずっと前から好きだった。そのツンデレなトコもドジなトコも怪力なトコも。」

「ありがとう。これからは素直に生きるよ。」


そこに愛があるのも大切だ。
お互いの心情が分かった処で、次の段階に。


お互いの気持ちを確かめられたのはたすくやフユミの助けがあってこそ。


………「まだまだ頼りない俺だけど宜しくな。」


恋って難しいね。
駆け引きなんて特に。


そこに彼女が居るなら。
傍に彼女が居るなら。



………それがいいんだ。
君がいいんだ。


Fin
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2012年05月26日 | Comments(0) | Trackback(0) | 純水小説
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